WCAG20とかニールセンも、言ってることはステキだけど、「象牙の塔感」みたいのがあって、それが色々と敷居を高くしてる気はする。ユーザビリティの教科書なのにユーザー離脱率が高いというか。もう少しローエンド向けに書いてくれないと考えが末端まで普及しないんじゃないかとか。
— 深津 貴之 (@fladdict) 2014年 2月 4日
深津先生のこのツイート、割と同感でリツイートしたんですけど、ローエンド向けに
とはまた違ったところで感じるところがあったのでその辺りの話とか、じゃあどうするのよってあたりについて書いてみます。
当たり前だけどアクセシブルなのはいいこと
まず前提として、コンテンツをアクセスしやすくすることは、基本的にはいいことづくめだと思います。
- 将来出てくる機器も含め、いろんな機器に対応しやすくなる(=Future-Friendly)
- いろんな人に対応しやすくなる(視力が弱くなって見えにくい人、目が見えない人・・)
- Googleさんとかが、いい感じに検索結果をクロールして表示してくれる(=SEO)
- コンテンツが活用されやすくなる(サイト外でも利用しやすくなる)
作った人にとっては公開したものが伝わる機会が増えるわけだし、利用者にとっては必要としていた情報に出会いやすくなるわけですね。
初学者にとってのモチベーション問題
ですが、じゃあウェブ制作を勉強し始めた人が、例えばWCAG 2.0にあるような
- 画像を使う時は、必ずそれが見えない時にも伝わるように代替手段を用意しよう
- 色に依存した表現をしないようにしよう
- マウスだけでなくキーボードでも操作できるようにしよう
というのを見て、果たして勉強する気になるかっていうと難しそうな感じがします。
概念的に上記のようなメリットがあるといっても、その概念自体は抽象的なのでなかなか伝わらないだろうし、そんな時に「これやらないといけない」「あれやらないといけない」と言われても、負担になって離脱する人も多いんじゃないかと。要するに最初のモチベーションの問題なんですね。
アクセシビリティは(ユーザビリティもそうですが)「問題がある状態は避けましょう」というマイナスを無くす方向に話の方向性があると思っていて、そういうネガティブな方向性からスタートするのはちょっとキツいと思います。
それより、アクセシビリティが満たされたゴール(おかしな日本語だが・・)をまず伝える、つまりアクセシブルにするとこういう未来ができるよっていうポジティブなワクワク感から伝える必要があるんじゃないかなあと。
未来像を伝える策
いくつか例を挙げてみます。
以前、Google Glassという新しいユーザ体験の成立は、いろんな情報へのアクセシビリティが確保されている基盤があってこそということを書きましたけど、そういう具体的でキャッチーな事例があるといいかもしれませんね。
FutureVisionのような未来のコンセプト動画(リンク先読み込み重いので注意)にも参考になるものがあるかもしれません。そこから逆算して、こういう情報がこういう風にアクセシブルになってないといけないよね、と考えてみるとか、でしょうか(ハードウェアの成熟を待たないといけないところもありますが)
最近のオープンデータの流れも未来像を想起させるのによいかもしれません。
最初に書いた「いろんなデバイスに対応できる」メリットを少し実現した例としては、NFL Mobile(どこでもスーパーボウルが見れるよっていうサービス)のCMの見せ方が上手いですね。
そしてできるところから
もちろん自分たちだけではできないことはいっぱいあります。ウェブ全体でやってかないとってこともありますね。そうなんですけど、じゃあその中の一員として自分にもできることってなんだろうねってことで、上記のようなWCAGとかにつなげれば良いのかなと(これも深津先生が言うようにもっとわかりやすい、親しみやすいといいけれど)
個人的には、まだ開発中なんですが ご飯屋さん情報をつなげたり、観光情報をつなげたりした後に、そういう話をしたいなと思ってます。
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