Liner Note

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5分でわかるユーザビリティに配慮したデザインとユーザエクスペリエンスデザインの違い

仕事ではウェブサイトやアプリのUX改善に携わっているのですが、先日、友達(ユーザビリティ/UXデザインの専門家ではない)に自分の仕事について聞かれてちょろっと答えたことがありました。ただ、いまいち腑に落ちなかったようで「結局、そのユーザビリティを良くすることとユーザエクスペリエンスを良くすることの違いってなんなん?」と聞かれてしまいました。

僕も数年前は同じ質問をしていたと思うのですが、最近こうかなあと思って話したことを(あんまり文書にしたこともなかったので)備忘録として残しておきます(大阪出身なので関西弁です)。ちなみに話し言葉なので厳密さは犠牲にしてます。


調整さんの画面

そやなー、例えばさ同じ会社の誰かが退職したとするやん?で、送別会やるやんね。そうすると、行きたいって人のメンバーの予定を調整するのに調整さんとか使うやろ?

ユーザビリティ、つまり使い勝手って言うのはこの調整さんが使いやすいかどうか。つまり参加者にとっては、どこで出欠登録ができるかすぐにわかるとか、◯✕つけるのがすぐにできるとか。あるいは出欠取る人にとっては日程候補がカレンダーから選べて土日がわかりやすいとか、皆に入力してもらった後に○付いているところがハイライトされてて、どこで調整付けられそうかひと目で分かる、とかそんな感じ。

つまり、ここで言うユーザビリティってのは調整さんって言うツール自体の使いやすさやね。

で、一方でユーザエクスペリエンスデザイン、つまりユーザの体験に基づいたデザインってので考えると、まず会社の人の送別会なわけやから、そのお知らせは会社のメールとか来るわけやんね(まあ、Facebookメッセージで来るってのもあるやろけど置いといて)。

そうすると、社内予定の調整とか登録とかはサイボウズとかのグループウェアでやってるわけやから、わざわざ調整さんってツール使わんでもええっていうか、むしろグループウェアで調整とか、あるいはFacebookみたいにイベント建てられたほうが効率的かもしれんよね?あと、調整がついた時間をお店側の予約システムに伝えて予約可能かどうかすぐにわかるともっといいかもしれんね。

じゃあ、送別会の予定を調整するっていう任務があった際に、それを今よりもっと良く完了できるようにするには?って考えた時に、調整さんが使いやすくなったら良い、ってのも一つの策なんやけど、例えばそういう風にいつも使ってるツールではどうかってことで、その人の行動から考えたほうがいいよねってこともある。

それが言うなれば、ユーザ体験に基づいたデザインってことになるんやと思ってる。つまり、ここで言うユーザエクスペリエンスデザインってのは送別会行く人の行動とかを考えた上で、一つのツールに限定せず、最適解はなんやろねって考えることやね。

送別会もそやねんけどさ、だいたい一つのツールとかで物事が終わることってないやろ?もちろん、そういうのがあればいいんだろうけど、大抵なかったりあってもすごい複雑でわかりづらかったりするから、いろんなツールを適材適所でいっぱい使ったり、あるいは本来そういう目的じゃないツールも工夫して使いながらうまくいくようにしたりとか。ちょっと前にユーザビリティからユーザエクスペリエンスデザインへみたいな事が言われたけど、それはそういう場合に一つのツールだけ改善しても意味ないんやないのってのを含んでるんやと思う。

もう少し広い視点で俯瞰した後に、じゃあ、この人の行動を助けるんやったらここをやるのが一番いいよねって、そうした方が一番いい効果が得られると思うやろ?(まぁ、ビジネス的にはそんなストレートにはいかんかもしれんけどさ) で、サービス開発者の視点で見てみると、じゃあどこにリソースを投資しましょうっていう資源配分とか、場合によってはサイボウズと業務提携しましょうとかって話にも関わってくるんで、経営の視点でのサービス改善に近づいてくるんかもしれんね。

そうすると、経営者と離れてユーザエクスペリエンスデザインをしようってのは難しいことがあるかもしれんね。


とまあ、こんな感じの理解です。

ユーザエクスペリエンスデザインって言ってますが、例えば僕が調整さん作ってる人だったとして、サイボウズ使う人は厳密には調整さんのユーザーではないので、ユーザエクスペリエンスデザインってか単にエクスペリエンスデザインと言ったほうがいいかもしれません。

ちなみに、話に出した送別会の幹事のユーザ体験は一連の行動を図にまとめたことがあります(見にくいと思うんで、気になる人はSlideshareのサイトでダウンロードして下さい)

上記の説明だと、買う前に興味を持ってもらって手にとって買ってもらうまでの話(予期的UXと呼ばれるもの)や使い慣れてからの印象や使い方、興味関心、使う意欲の変化の話(累積的UXと呼ばれるもの)など、長期的UXの視点をごっそり落としているのですが、話を単純化するためにそうしてます。