要約:図書館OPACは本の存在と位置というメタデータだけではなく、利用者がテーマ理解を求めていると思われる際にはそのために必要なデータを提示してみてはどうかという話
OPAC(蔵書検索)の検索結果とパスファインダーを結びつけてみてはどうかなという記事では、「国際政治学」や「仏教」など比較的曖昧で抽象的な検索語を入力した場合には、利用者は入門書・概論書を求めているのではないかと考えて、その分野においてあらかじめ整理された関連資料リスト(=パスファインダー)を読んでもらうといいんじゃないかな、と書きました。
もうちょっと言い換えると、このような場合には相手は必ずしもそのテーマに関する本を見たいのではなくて、そのテーマをばくっと理解したい、つまりテーマの見取り図を描けるようになるというか、このテーマはこういう構図になっていて、こういう事が議論されてるんですよ(以後、これをテーマ理解と言います)ということが知りたいのではないかと考えるわけです(仮説です)。
すると先の記事の潜在的な問題意識はこんな感じでしょう。利用者は結局何か問題を解決しに来ている(この場合だとテーマの理解)のだから、大学図書館の知のナビゲータ*1 であるところの蔵書検索システムが文字通り蔵書の存在と位置だけを示せば十分なのか、と。求める情報そのものを提示してもよいし、それができるシーンではそうすべきなんじゃないだろうかと。
で、あるならこの話はパスファインダーだけではなく、もうちょっとふくらみそうです。つまり、他のデータベース、Wikipediaのような百科事典では(信頼性の点から一歩引かないといけないものの)テーマそのものに対する情報が入手できますし、新書マップではテーマを理解するのに役立つ新書群が一覧でき、どういうことをおさえると良いのかわかるようになっています。テーマ理解をした後では、検索語も「洗練」されてくるかもしれません。
なるほど、学術データベースサイトとの連携ってこういう時に必要なんですねー。いや、ARGの岡本さんも学術DBサイトのAPI公開を訴えていらっしゃるのですけど、その理由は論文を読む限りは、ブログアカデミズム的なものを花開かせるために、という感じなんですよね。ただ、「でもブログってすごいマイノリティしか書いてないんじゃ‥」と思っていて、APIが公開されると何がうれしいのかってとこがなんかわかったようなわからんような感じだったんですよ。
一応、その何が嬉しいのかってのをまとめてみると2点あって、
- 利用者のテーマ理解を助けようとする際に、単にそのテーマに関する本の存在(メタデータ)だけでなく、そのテーマに関する情報(データ)を直接扱いやすくなること
- 文献への接続点を増やして、より適切な文献をお薦めできる可能性を上げられること
というところ。
やっぱり仮説ではありますが、大学生がレポートをGoogleで検索してコピペする行動原理も、本棚行くよりウェブ見た方が早いでしょというコスト意識から生じているのかもしれません。だとすると、テーマ理解を助ける側面もOPACに持たせることで、そうした大学生の脱落を防げるのかもしれないですね。
余談。学術データベースサイトって適当に使ってますけど、一般に想像されるようなテキストやPDFを扱っているところだけではなくて、慶應SFC グローバルキャンパスや東大.TVのようなオンラインでの無料授業も同じくテーマ理解につながるという観点からその中に入れて良いと思っています。
- 一応、これに訊いてみろ的な存在なのだからそういうことになるでしょう[戻る]
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この記事はシリーズものの一篇です。Making OPAC 2.0シリーズのそのほかの記事もよろしければご覧ください
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