要約:少子高齢化に伴って高齢者のユーザ拡大が予想できるけども、現在のネットでもってそれに対応できるんだろうかという話
ここをお読みの方であればIT総合情報サイトのITmediaはご存じだとは思いますが、先日このサイトなどを運営する株式会社アイティーメディアの会社説明会に行ってきました。
話としては、事業や職種紹介よりも直近の社会動向からビジョンを語ることに力を入れた説明会*1 で、結構面白かったです。
ネット系の企業から「信頼できる情報を提供している出版社は残るべき、無くなってはいけない」という言葉が聴けたのも面白かったですが、「インターネットはそんなにすごくない。リテラシーやテクノロジーの壁があって、まだまだテレビのように簡単に使用できていない層がたくさんいる。インターネットがこれからも伸び続けていくためにはこの壁を乗り越えていく必要がある」といった下りは、私も自分の関心と全く同じなので、非常に共感するところです。
で、なぜ共感するか。今回はそれをちょっと書いておこうと思います。
最近、ネット系の企業の説明会を伺う時にだいたい思うのですが、そこには「これからもインターネット市場は成長する」という前提があるように思うんです。確かに最近ネット広告費が雑誌のそれを抜いたと話題になりましたし、NRIもネット市場全体が伸びるよなんてことを言ってます。
これからは高齢者のターン!

けれど、こと日本においては高齢化がずんずん進んでいく中で、高齢なユーザの存在は無視できなくなります。車社会は車を前提とした社会が作られることを意味するように、高齢社会というのは高齢者の存在を前提に社会が作られていくことを意味しています*2 。
団塊世代の大量退職によって、インターネットに触れる高齢ユーザは増加していくでしょう。実際、ネットレイティング社が行った調査では40代以上のユーザの増加が目立ってきています。
ですから、高齢者ユーザのマーケティングやサポート無くしては、日本のネット産業の成長はないとみていいのではないかなと。
ゲーム業界では、任天堂がWiiやNintedo DSなどのハードのUIの改革を通じて、今までゲームに触らなかった・触らないようになったユーザを獲得し、ゲーム人口の拡大を図って、業界全体がゆっくり死んでいく
道をなんとか抜けだそうとしていますが、ネット全体もこの潜在的な危機の最中にあるのではないかと思っています。
こう思ったのは、母がPCを使いはじめてそろそろ1ヶ月になるのですが、まだまだウェブ利用でつまづくことがよくあり、積極的に利用することが少ないというのが1つあります*3 。それに、最近流行ったサービスがニコニコ動画などの動画共有サービス*4 、およびmixiやモバゲータウンなどのSNSなど若年層を対象にしたサービスが多いというのもありますね。つまり高齢者ユーザって、ネットビジネスではあまり注目されてないし、ウェブのビジュアルデザインの観点からもまだまだ課題の残るサイトは多くあるように思うのです。
私が、ユーザビリティひいてはユーザ中心デザインなんかに最近興味を持ってきたのはこういう理由からです。ウェブというメディアがゆっくり死んでいく
というのは、あまり想像できないことかもしれませんが、以上のような状況を考えれば、あながちありえないことでは言えないでしょう。その点では、私が現在考えていることは任天堂の岩田氏に近いかもしれませんね。
ということで、高齢者ユーザにとってのユーザビリティ向上のノウハウを集め、実際にサイトを使えるようにしていくことでウェブの価値を高めていく、というのが現在私の考えていることです。
そのためには何をすればよいかはまだまだ模索中ですが、現時点では大きく2点考えています。
- 伝えるべき情報を明確にする
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特にサイトのトップ等、ユーザのネット行動のふりだしにあたる部分のインターフェイスのフォーカスを絞ることにより、ユーザの目的意識を高めて、スムーズなネット使用をサポートする必要があるんじゃないかな。情報は多すぎるとそれだけでエラーの原因になり行動を起こしづらくなりますし、逆に少なすぎると何をしていいのかわかりにくくなります。
ちなみに料理レシピ検索サービスもそれを意識して作りました。
- 機械にインテリジェントに情報を処理させる
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まず、前提として機械の論理で人間を振り回さないことですね。世の中はオートメーションによって便利になっているように見えますが、実際の所それに人間がつきあわされて、今までより不便になっているケースもあるでしょう(納得はできないけど、ソフトウェアがこういう動作をするからそれに合わせるほかないという経験は誰しもあるんじゃないかな)
そういうマイナスを減らすと言うことでなく、もう少しポジティブに見るならば、機械でやれることは極力機械でさせ、それをよりインテリジェントにしていくということがあります。例えば、私が今進めている蔵書検索エンジンでは、普段の生活(通勤・通学)ルートを登録しておけば、蔵書検索時にそのルート付近にある書店・図書館から自動で蔵書検索結果を引っ張って統合表示するということを考えています。
この項はいろいろ書きたいことがあるので、分けて書こうと思います。
関連リンク
- ビービット:シニア向けサイト構築【前編】、同【後編】
- FBITニュースアーカイブス : 女性/高齢者のネット利用が急増 – 英政府の通信・メディア利用調査
- japan.internet.com デイリーリサーチ – シニアユーザー、9割がインターネットに不便あり
- 高齢化社会 – Wikipedia
- インタビュー:新規出店競争は行わず、高齢化支えるインフラに=ローソン社長 | Reuters
- この手の説明会はポジショントークが少ないので、聴いていて飽きません[戻る]
- 10年後には高齢者(65歳以上の方)の数は30%近くになっているようです[戻る]
- 基礎的なPCリテラシーですが、これはそこそこついてきていると思っています[戻る]
- YouTubeは除きます[戻る]
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