Liner Note

情報(ユーザー中心デザイン・ユーザビリティ)と技術(ウェブプログラミング・ウェブサービス)についてのメモ書き

要約:iPod touchの二回目のレビューです。音楽プレイヤーとしての評価や、ソフトウェアに全面的に依存してしまったがために起こる問題点を指摘してみます

レビュー自体は買ったときに一度してるんだけど、もう一度ちゃんと言語化しておこうかと言うことで、勝手から半年近くたった今頃に再レビューしてみます。

iPhone/iPod touchは端的に言って、使っていて気持ちが良いです。ハードウェアキーを極力廃した上で、ほとんどを指で思ったままに操作できますし、またエフェクトを多用してモバイルデバイスとしての非力さを感じさせない工夫は素直に良い点だと感じます。

しかし、指でなんでもできると言うことは裏返せば操作を指に依存しているという意味であって、そこで新たに生まれた問題点をまだ解決できていないとも感じます。今回は使っていて気づいたそうした点にフォーカスをあてたいと思います。

音楽・動画を視聴するデバイスとしては完成度はイマイチ

iPod touchは電話抜きiPhoneと評され、実際iPhoneオンリーだったアプリが購入できるようになったことでますますその色が強くなったようにも感じます。しかし、製品としてiPodの名を冠している以上はまずiPod、つまりデジタルオーディオプレイヤーとして評価していこうと思います。

で、結論からいうと、iPod touchをiPodとして使うのはあまり向いていないと思います。理由は主に以下のような点からです。

  1. ユーザインターフェイスの一貫性に欠ける(コントローラの位置・操作位置の)点
  2. 楽曲操作をするためのハードウェアキーが排除されている点
  3. 周辺機器の対応状況

ユーザインターフェイスの一貫性のなさ

例えば、まずこのスクリーンショットをご覧ください。

iPod touch ミュージックアプリでの再生画面

iPod touch ロック解除画面での再生コントロール

iPod touch コントローラ呼び出し

これは左から「ミュージックアプリ内での再生画面」「ロック解除画面」「ホームボタン二回押しで呼び出せる画面」です。すぐに気づくかと思いますが、それぞれ再生コントロールの位置が異なりますよね。

ユーザからすると一貫性のないUIは単なる混乱の元ですから、これは統一して欲しいところです。では、どの位置がいいか。これは1枚目の写真のような下がベストだと思います。

iPod touchを持ってみた図

これは2つの理由があって、まずiPod touchはイヤフォンジャックが製品下部に配置されており、ユーザが本機を取り出して操作する際は、イヤフォンを上側にして取り出すことが多いと考えられますよね。なので、必然的にイヤフォンに近い側に再生コントールを配置した方が操作がしやすいと考えられるからです1

もう1つは歴代のiPodをはじめ、再生コントロールが上ではなく下には位置されているからですね、つまり慣習。

次に、iPhone/iPod touchの回転度センサーを積んでいて、アプリによっては横に向けると自動的に画面が横に回転するといったアクションを起こすのですが、これは各アプリの実装状況次第であって全てのアプリがこの回転動作に対応しているわけではありません。例としてアップル純正アプリの対応状況をまとめてみると、以下のようになります。

アプリ名 縦対応 横対応 一貫性 備考
Safari 上下を反転した縦画面にも対応するなど、この中では一番完成されている
メール × - -
天気 × - -
ミュージック 横画面での操作はCoverFlowによる操作のみ
(アルバム間の移動、楽曲の選択、再生/一時停止)
ビデオ × ただしメニュー画面は縦画面のみ対応
Safariのビデオ再生は縦・横画面に対応しているが、このアプリでは横画面のみ対応
写真 × ただしメニュー画面は縦画面のみ対応
Youtube × ただしメニュー画面は縦画面のみ / 再生画面は横画面のみ
マップ × - -
iTunes Store × - -
メモ × - -
カレンダー × - -
メモ × - -
時計 × - -
アドレス帳 × - -
計算機 × - -
株価 × - -
設定 × - -

このように、多くのアプリは縦画面の未対応という状況です。ほとんどのプレーヤは回転動作に対応していないので対応しているアプリがあるだけ良いじゃないかというかもしれませんが、アプリ毎に対応がバラバラな状況は本機全体の一貫性のなさを却って目立たせてしまっています。特に写真やYoutubeアプリなどはアプリ内でも対応状況が操作によって縦・横どちらかで分かれているのはいただけません。

楽曲操作のためのハードウェアキーがない

Apple iPhone

Apple iPod touch

左がiPhoneで、右がiPod touchですが、何かないものがありますよね。この側面部分での違いは2つあって、1つがマナースイッチで、もう1つがボリューム調整ボタンです。

それで、なぜなくなったのか。僕にはここがよくわからないのですね。音量調整ボタンは音楽プレイヤーどころか携帯電話にすら実装されているくらいクリティカルなものなのに、あえてそれをソフトウェアにまかせるのはどうしてなのかなと。

ちなみに、iPod touchの音量調整はスライドを指で左右で動かすことでできるんですが、これも問題があって、そのスライダのスイッチが小さいためにつかみづらいことと、スライダだと細かな調整ができないことです。細かな音量の調整はクリックホイール時代からiPodシリーズにとって不得手な操作でしたが、それがよりやりづらくなったという印象を受けます。

せめて、ボタンが二つあれば音量の調整や楽曲の操作など、音楽プレイヤとして必要な操作はハードウェア側で持たせることができて操作性が上がったのにと思うと残念ですね。

周辺環境の状況

これは時が解決するんでしょうか。

たとえば、イヤフォンやFMトランスミッタなど再生デバイスに依存しない周辺機器は問題ないのですが、Bluetooth 送信機やFMラジオなどはまだiPod touchに対応していないことが多いです。なので、この手のデバイスが欠かせない人にはiPod classicなどをオススメします。

ということで、これはiPodとしてではなく、やはり電話抜きのiPhoneというのが妥当な形容かなと思います。

指に依存するがゆえの問題

当初から指摘されてはいましたが、ソフトウェアキーボードの打ちにくさなど、ソフトウェアであるがゆえのフィードバックの薄さから生じる問題は指摘できるでしょう。

リクナビ on iPod touch

これは就活性なら一度はお世話になるであろうリクナビのウェブサイトです。実は左上に見える青いボタンがログインボタンです。個人的経験になってしまって申し訳ないですが、結構よく他のリンクと押し間違えるんですね(この写真だと下のリンクと2-3mmしか距離がありません)

リクナビだけではなくて、まだまだiPod touchに最適化されたウェブサイトは少ないものですから、このような場面はよく遭遇します。もちろん、画面をダブルタップすれば拡大するのですが、拡大しすぎたり、逆に全然拡大しないことがあったりしてあまり頼りになりません。

なので、ピンチ(二本の指で押し広げるような操作)で拡大するんですが、2回も3回も拡大が必要で、サイトにアクセスする度にその操作をするのは正直めんどくさく感じます。

ですので、例えば指で四角形を描けば、その描いた四角形の部分にズームするようなそういう操作もなのじゃないかなと思いました。

iPod touchは確かに直感的ですが、まだ細かな点ではもう少し改良の余地があるかなとも思います。

柔軟性と扱いやすさのトレードオフ問題

最後に1つ。

「問題は下40%にある。キーボードだ」。プラスチックの固定されたボタン。アプリはそれぞれ別のコントロールが必要なのに追加できないetc。「われわれは20年前にこの問題を解決した。なんでも表示できるビットマップ画面、そしてポインティングデバイス」

Macworld 2007:スティーブ・ジョブズ キーノート – Engadget Japanese

確かに柔軟性の問題はマルチタッチインターフェイスによって解決したかもしれません。アプリ毎に必要なボタンを用意し、必要でない場合は出さないと言うこともできる。アップルらしい素敵なおもてなしだと思います。

ですが、ほぼ全面的にマルチタッチインターフェイスに依存することで、ハードウェアボタンが従来持っていた扱いやすさという利点も同時に失ってしまったような気がします。

それは例えば上記のミュージックアプリの音量調整などの操作性なんかに表れていると思います。iPhone登場以前から、この柔軟性と扱いやすさのトレードオフの関係はあって、もちろんAppleもそれを解消しようと思ってはいるのでしょうが、前者に比べ後者はまだそれほど満たされていないように思えます。

ボタンを2つつければ、音楽再生の音量調整もできますし、ビデオの30秒送りボタンに使うことも、あるいはSafariで画面のスクロールの役割をつけることができたかもしれません。

マルチタッチ+ホームボタンで一元化していた操作系が分散することになり、操作系が複雑になるのではないかという懸念もありますが、あくまでハードウェアボタンを補助的役割と位置づけておくことで解決できることなのではないでしょうか。

ジョブズ氏の美観は同意するところもありますが、今回は本機全体の操作性を部分的にスポイルしてしまっていることになっているんじゃないかなとも思います。

終わりに

今回は各アプリについてレビューしようかなと思ったんですが、ミュージックアプリについて書いたところで予想以上に長くなってしまったので、要点をまとめて終わらせました。

批判点ばっかでダメデバイスみたいに思われるかもしれませんが、前回のレビューと今回のはじめに言ったとおり全体としては気持ちよく操作できる良いデバイスです。今回挙げた点もタッチモデル初期だからこそあるような点で、長い目で見たら解決されていくのだろうと思います。それは、ソフトウェアベースのいい点ですよね。

それと、もう一つ気になる点はiPodのワイヤレス化についてですね。iPhoneにはBluetoothもついているので、ようやくこれでワイヤレスiPodのお出ましかと当時は期待していたのですが、ふたを開けてみるとHFP(つまり電話での使用)限定で、音楽には使えないと聞いてちょっとがっかりした覚えがあります。電力関係がネックになるかもしれませんが、ぜひiPod touchもBluetoothを標準搭載してワイヤレスでも音楽が聴けるようになって欲しいですね。

それは単にデジタルオーディオプレイヤーのリーディングカンパニーとしてだけではなくて、MacBook Air や Time Machineなどの数々のワイヤレスソリューションを提案してきたAppleだからこそという意味で、力を入れて取り組んでもらえればと思います。

参考レビュー

  1. ちなみに、iPhoneは本体上側にイヤフォンジャックがあります[戻る]

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読者のコメント

  1. お名前

    名無しさん

    投稿日時
    2010年01月10日
    22時ごろ
    Comment No
    #1

    今iPodtouch から書き込みしています。なんだか未来からきた最先端のコンピューターのようです!ぜひ買ってみて下さい!

はてなブックマークでつけられたコメント

tadateruさんのプロフィール画像  tadateru
冷静な、インターフェイスの一貫性に関する指摘。
これを読んで思ったが、イヤフォンジャックの位置が違うiPhoneとiPod touchは、インターフェイスの一部を異なるものにするべきだろうか?

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