要約:追加の使用料や許諾を求められることなく使える日本語フォントのうち、そこそこ使えるクオリティのフォントを選んでまとめてみました
日本語フォントに関する記事はいろいろあって、断片的・網羅的といろいろ出ているんですが、1. 無償で商用利用可能 2.そこそこ品質が高いという2点でフィルタをかけた情報をまとめてみることにしました。
商用利用は別腹が多い

まず、個人で使う場合は無償・商用限らずフォントを使った画像を出しても問題ないよというケースが殆どなんだけど(当たり前と言えば当たり前)、これが商用とかになると条件が違ってきます。
例えば、ダイナコムウェアのフォントなんかはかなりの数のフォントが1-2万円で変えることもあって、年賀状なんかの個人利用にも人気があるとも思うんですが、これが「商用利用となると別腹だよ」という話で、表の値札だけを見て買うと却って高く付いちゃったりするんですね。そんなところが非常に多い。
これは商用フォントの話だけでなく、いわゆるフリーフォント(無償で使用できるフォント)も同じで、「個人利用に限り~」という但し書きがあるところは結構多い。
で、わざわざお金払って許諾取るくらいなら、無償で許諾不要で利用できるほうがラクチンで経済的だよねということで、そうしたフォントをまとめてみました。
一応、注意して欲しいのが各社によって「商用利用」の定義が違うことです。あるケースは○○社のフォントではオッケーだが、××社のフォントでは別途契約が必要と言うことはよくありますので、詳細は使用許諾契約書を見て注意してください。
商用フォント
Adobe 小塚ファミリー


解説
Adobe AcrobatやillustratorなどのCreative Suiteプロダクトには小塚ゴシック・小塚明朝という各3ウェイトのOpenTypeフォントが付属しています(最近はAdobe Readerにも入っているのかな?)これがなかなか綺麗で、微妙なクセもあって面白いフォントです。
ライセンス
WALK SLOW, AGAINST THE FLOW. BLOG – Illustratorに付属の小塚フォントは商用使用できるかという記事では(孫引きになりますが)以下のように返答がされています。
お客様において作成するもの(印刷出版物や電化製品など)に、アドビから提供されているフォントを使用して作成し、それを営利目的にて販売、閲覧等を行う場合、フォントが再利用できないような固定された形での利用(印刷等も含む)であれば使用可能であり、個別に弊社から使用許諾を得る必要はありません。
WALK SLOW, AGAINST THE FLOW. BLOG – Illustratorに付属の小塚フォントは商用使用できるか
これは上記さざなみフォントの「フォントとしての再使用を目的としない用途」と似たような物でしょう。もともとプレス向けとかに使うソフトウェアに付属しているものだから、わりかしオープンにできている。
AXIS フォント

解説
AXISフォントはType Projectがもともと紙面用のフォントとして作ったOpenTypeの商用フォント。プロポーショナルと等幅が各7ウェイトあり、それぞれ19,800円。
たしか、このフォントはアップルの日本語ロゴのフォントとして使われている(英字のMyriad Proとも非常によく合う)もので、非常に品質が高い。
試用版の無償配布がされていて、登録をすればプロポーショナルと等幅の(常用漢字のみの)各1書体が利用できます。
ライセンス
AXISフォントは商用フォントとしては非常に良心的なライセンスで、製品版はもちろんのこと、試用版でも私用・商用関わりなく自由に使用できる1
モリサワ

解説
モリサワと言えば、新ゴシック体の代表格「モリサワ新ゴ」や主張する明朝体「リュウミン」、毎日新聞に使われている「毎日新聞明朝」など非常に有名かつ高品質なフォントを量産していて、個人的には写研や大日本スクリーンと同じく認知度が高いメーカー。OpenTypeの商用フォントをたくさん作っている。
そんなモリサワのフォントを52,500円/年で使えるモリサワ パスポートなんかもあって、本当に収支大丈夫なのかという感じがしなくもないけど、コンシューマとしては良質なフォントを安く買えるいいメーカだと思います(新書体が出た場合、それも提供してもらえる)
ライセンス
デジタルフォントを商業利用する場合、フォント料金とは別に使用許諾料金を設定しているフォントベンダーが多くありますが、モリサワフォントでは、各フォントのユーザライセンス契約の範囲であれば、特別な契約およびそれに伴う使用許諾料を別途に必要と致しません。
上記の通り、基本的にモリサワは商業利用には寛容で、それゆえゲーム製作などでお世話になっている人も多いとか。
従来のモリサワパスポートは申請書が必要でしたが、先頃店頭で変えるパッケージタイプのモリサワパスポートONEが発売されたようです。手間が減って買いやすくなったのはよいですよね。私の好きな毎日新聞明朝フォントも入ってます。
フォントワークス LETS

解説
こちらもロダンやスーラなど有名なOpenTypeの商用フォントをたくさん取りそろえているメーカー。
こちらもモリサワのように全フォントを定額で使用できるLETSというプランがある(こちらも新書体が出た場合、それも提供してもらえる)
ライセンス
規約などの固定的なソースはどうやら見つからないのだけど、フォントワークスLETS 商用利用 – Google 検索で出てくる見解通り、このLETSにおいては商用利用は問題ない模様。念のため、こちらも使用の際は要確認。
字游工房

解説
ご存じ、Mac OS Xのヒラギノを作ったメーカー。現在は「游書体ライブラリー」というファミリーで商品展開しているみたい、こちらもヒラギノ同様端正で綺麗な印象のあるOpenTypeの商用フォント。
ライセンス
- お客様は、公衆に送信、または複製し、販売、頒布することを目的として作成されるデジタルコンテンツに許諾フォントを使用することができます。
- お客様は、公衆に送信、または複製し、販売、頒布することを目的として作成される映像コンテンツに許諾フォントを使用することができます。
ということで、映像・デジタルコンテンツに使うことは特に問題なし。ただ、商用利用についてはコチラは記載なし。ただ、お試し版フォントは商用利用禁止で、商用利用したい場合製品版を買ってくれと書いてあるので、製品版であればおそらく問題ないのでしょう(使用する際は念のため要確認)
白舟書体

解説
年賀状でお世話になる人も多いであろう、人気の五体(行書・楷書・草書・篆書・隷書)メーカー。定番の五体フォント(スタンダード書体)以外にも筆文字シリーズもあるようです。
ライセンス
白舟書体の全ての書体は「一般的な商業使用が追加契約・追加料金なしで可能」です。「一般的」とは次のものを指します。
- 広告、カタログ、チラシ、DM、POP等の紙媒体印刷物
- ホームページ、Webバナー等の画像の一部に使用
- 看板(電飾含む)、のぼり等の屋外広告
- 商品パッケージ、商品ラベルなどでのデザイン
- プロモーションビデオ、CF等の映像媒体
- 不特定多数の第三者が閲覧、プリントのみ可能なPDFファィル
- キャンペーンタイトル等商標登録をしないロゴ
しかし、以下のものは条件がつくか、別途契約となりますのでご注意下さい。
ということです。ASPサーバでの利用など、例外を確認して使用してください。
タイプラボ

解説
タイプラボは、フォントの作成だけでなく、フォントに関する情報もいろいろ公開しているメーカーです。
あられやセプテンバーなど味のあるTrueTypeの商用フォントをリリースしています。アニトはクセもなく、OSの標準フォントとしても十分使えるくらいの品質です。
1フォントが3,150円と安いのも特徴。教育漢字のみに限定したお試し版も用意してくれています。
ライセンス
キヤノン

解説
これはもう既に販売を終了しちゃったのですが、良いフォントパッケージなので欄外扱いで取り上げます。
このパッケージは、ゴシック・明朝・教科書・楷書と一通りの良質な自体が揃っていて、個人ではコレ一つで十分なほどです。角ゴシック Caは太めのウェイトの物がテレビのテロップでもよく見ますし、個人的にもMicrosoft Wordで使うとドキュメントを見栄えが良くなるので結構使ってます。
ライセンス
こちらの収録フォント表に書かれているとおり、キヤノンが権利を持っているフォントと持っていないフォントがあるので注意が必要ですが、前者に限れば商用利用可能です。
フリーフォント
M+ およびその派生フォント


解説
M+は有名なフリーなTrueTypeフォント。漢字のみ部分実装で他の文字種は実装済み。そこで、M+に入っていない漢字の部分を、既存のフリーな日本語フォントと合成してできたのが派生フォント。
派生フォントは細身のゴシック体が主なので、ロゴタイプには向かないが、テキストで使うと読みやすくオススメ。ちなみに、さざ波フォントにはゴシック体の他に明朝体も入っている。
なお、M+の漢字入りバージョンは一般には配布されておらず、CVS版からFontForgeでコンパイルして試すことができる。独特な感じがあり見た目も映えるけど、教育漢字程度の実装ということもあり、実用には向かない。が、LightからBlackまで7種類のウェイトをそろえているので、簡単な文字組程度なら積極的に使っていけるのでは。
ライセンス
さざなみゴシックフォントおよび梅フォントは「フォントとしての再使用を目的としない用途」ならばどんな用途でも使用可能とのこと。意味がよく分からないという人はコチラのMLでの応答も併せて読むといいでしょう。
また、小夏フォントはCreative Commons 3.0 by-saの模様。
M+は以下のように自由に利用・編集などが可能です。
M+ OUTLINE FONTS の公開試用版 TESTFLIGHT は、どなたでも自由にダウンロードし、使用、改変、再配布する事ができます。制作を予定している全ての文字が揃った後も、自由なライセンスは変わりません。
オマケ
FontForgeでコンパイルした漢字入りバージョンを配布しておきます。
- ダウンロード
- M+ アウトラインフォント
IPAフォント およびその派生フォント

解説
IPAフォントは、元はIPAが支援した事業「オープンソースGISプラットフォームの開発」の付属物として再配布が許可されていたもので、そののちに一般使用が認められたTrueTypeフォントです。IPAフォントにはUIフォント、ゴシックフォント、明朝フォントが揃っています。こちらもM+派生フォントと同様、テキスト主体で使うのが無難な線じゃないでしょうか。
ちなみに、このフォントには以下のような派生フォント(合成フォント)が存在します。
ライセンス
実はこのフォント、ライセンスについてはちょっと怪しいです。
このフォントについては独立行政法人情報処理推進機構のフォントの再配布についてというドキュメントがあってプロジェクト成果物と一緒に配布するようか書かれているんですけど、使用許諾条件についての記載はありません。
MLでの応答では、再配布を伴わなければ無償使用可能とも取れそうな感じですが、明記されていないので、白に近いグレーといった感じですね。
以前はライセンスが不透明でしたが、2007年10月1日にIPAから一般向けへの無償公開をするとのプレスがありました。使用許諾書には作成した印刷物およびデジタル・コンテンツにつき、その商用・非商用の別、および放送、通信、各種記録メディアなどの媒体の形式
との記述があります。フォントデザインを変更したりしない限りは自由に使用できるようです。
を問わず、複製その他の利用をすることができます
出島明朝

解説
出島明朝は築地明朝をベースに別の自体を作るのを目的にしているのだそう。レトロな雰囲気漂います。
ダウンロードはGoogle Codeからどうぞ。
ライセンス
Google Codeのページにもあるとおり、licenses/MITライセンスで、個人・商用など関わりなく無制限に使用できます。
なお、再配布する際は、著作権表示と条件書を提示しておけばオッケーです。
オマケ
このフォントにはアルファベットは含まれていません。そこで、hail2u.netで紹介されている(via 注文の多い古書店 好きに使える素材で動画を作ってみる その2)フリーフォント jGaramond と、このフォントを合成してみました。
- ダウンロード
- 出島明朝フォント
- ライセンス
- MITライセンス
選外
Windows 付属のフォント
日本語のフォントに関しては、外部のフォントベンダーがすべてのフォントの開発に関わっています。そのため、各段階での著作権者の権利を守るため、マイクロソフトでは日本語フォントの使用許諾契約書で許諾される以外のご使用について、許諾を出さない方針です。フォントの再頒布や、お客様のソフトウェアでの使用等の権利処理については、日本語フォントのプロパティに表示される各フォントベンダーに直接お問い合わせください。
要するに、権利を持ってるベンダーに訊いてくれって言う話ですね。
例えば「MS P 明朝」の権利はリコーにありますけど、RICOHの商用使用許諾によると、許諾不要の使用は非商用個人用途のみで、商用利用は別途契約が必要です。
また、Windows Vistaの新日本語フォント「メイリオ」をデザインしたC&Gの使用許諾契約には、非商用の個人用途に限ってのみ許諾不要と書かれています。
また、Tahoma, Verdana, Trebuchet MSなどを使う際はフォントベンダーからフォントを買う必要があります。
そしてこれはオマケですが、Windows Me以降のOS付属のフォントは、サーバにインストールしてASPサーバ的に使うことはWindowsの使用許諾契約上できません。
これは、[vine-users:064624] Re: Mozilla の文字がみずらいという掲示板のスレッドが詳しいのですが、要するにWindows Me以降のOSの使用許諾契約には「勝手にバラして使っちゃダメだよっ」という文言が入っているので、それだけを取り出して使えないと言うことです。
使いたいのなら、Vista版のWindows Serverを待てと言うことでしょうか2
Mac OS X付属のフォント
Mac OS X付属のヒラギノフォントはかなりグレーぽく、使用には注意が必要です。
参考・関連リンク
- タイプラボ メールマガジン
- 書体関係 Wiki
- Pluto’s Design Works * Notes
- GamDevPukiWiki – フォント
- So-net blog:プログラムやフォントなど
- mixi – フォント使用料金?
- kei3.jp
- wiki.da! – メモ/2007-05-16/明朝はむずかしい
- hail2u.net – Weblog – よく使うライセンス・フリーのフォント
オマケ
使える日本語・欧文フォントを網羅した最新のフォントカタログ「フォントスタイルブック2008」が出てます。フォントに触れる機会が多い方は1つ持っておくと便利なんじゃないでしょうか。「利き文字」特集なんかのコラムも面白かったです。
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